Jakob Broの作曲法:小さい「気分」をスケッチする

先月Jazz Guitar Forumでヤコブ・ブローのスレッドを立てて下さった方がいて、下のインタビュー動画を紹介して下さいました。大変興味深い内容だったので、外国語が苦手な方にも観て欲しいと思い、主に彼が作曲について話している箇所の概要を日本語にしてみました。

なおデンマーク語から英語への変換はアメリカ人によるものらしいですが、さらに日本語になる過程で細部が落ちている可能性があることを最初にお断りしておきます。

(5:16) 何かを連想させるような、何らかの気分(mood)を伝えるようなものを書くように努めている。ギターを使って書くときもあるし、メロディを呼び起こすために声で歌うこともある。大きいものになりそうだなと感じられるものは、しばしば小さい素材であることがよくある。アルバムを録音する場合、一週間前から予定を全部開けておく。ミーティングもリハーサルも何もしない。朝起きて昼のあいだは何もやらない。その日のうちに2つか3つの気分を生み出すことができたら、僕はハッピーだ。夜の9時半頃まで生まれないこともあるけど、寝床に入る前に出てきてくれれば構わないよ。今日僕が書いている素材(曲)は、そのプロセスの産物なんだ。何かを内包している小さい気分、それを展開して、意味のある音楽に変えていく。

(7:39) 作曲は、即興を通じて何かをつかまえることだ。それが僕の方法。しかしメロディーは訴求力を持って発せられなければならない。スタジオ入りする時、完全には形作られていない素材を持っていき、予期しない何かが放たれるのを期待する。そうすることで違う場所に連れていってもらえるし、書かれた音楽に奥行きが生まれる。

(9:22) 僕は、審美的に強力な土台を提供してくれるようなシンプルなスケッチを作る。それを提案した瞬間から、最終的に完成した曲に至るまでのあいだ、僕はとても柔軟だ。スタジオレコーディングが好きなのはそのせいで、自分の曲を2バージョン持って帰ることができる。自分が提供した枠組みに、自分以外の誰かが参加することで独特のサウンドが与えられている。比較的シンプルなスケッチを持ち込んで、音楽が何処に行くのかを観察するような、こういうオープンなレコーディングは魅力的だ。

魅力ある演奏をするプレイヤー、美しい曲を作曲するミュージシャンが頭の中でどんなことを考えているかは本当に興味があります。ヤコブ・ブローのこのインタビュー動画は、映像もとても美しいので是非観ていただきたいのですが、才能のあるミュージシャンが音楽をどのように「呼び起こしている」のかが生々しく伝わってくる感じのためになる内容でした。

「気分」と「素描(スケッチ)」という2つの言葉が、特に私の心にひっかかったキーワードです。よくジャズの演奏では自分の「感情」(emotion)を伝える必要がある、みたいなことを言われる方も多いのですが、個人的には喜怒哀楽といったニュアンスを持つ「感情」という言葉より「気分」(mood)という未分化で抽象度の高い言葉のほうがしっくりきます。

mood: a state or quality of feeling at a particular time (dictionary.com)

気分:特定の時における気持ちの状態または質

とはいえ、ここで「気分」(mood)と呼ばれているものがデンマーク語でどういうニュアンスを持った言葉なのかは知りません。ヤコブ・ブローというミュージシャンの核となるコンセプトだと思うので気になるところではあります。

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