ギタリストが配偶者に対しベースギターの購入を正当化する

ギタリストがギターやアンプ等の新機材を購入する際、配偶者や彼女といった人々を説得するための正当化パターンが過去に研究され、論文として発表されてきた。

配偶者に対し新しいギターやアンプの購入を正当化する
ギタリストがギターやアンプ等の新機材を購入する際、最も懸念されるのは配偶者や彼女といった人々による「強烈な不満と断固たる反対」です。いかに彼...

それから長い月日が経過し、私達はいま新たな課題に直面している。それは ベースギターの購入 をどのように正当化するかという課題である。本稿はその問題に取り組むものである。

ギタリストが配偶者に対しベースギターの購入を正当化する
Photo by John Clift / CC BY-SA 2.0

ギタリストが配偶者に対しベースギターの購入を正当化する

ギタリストである僕がいま、新たにベースギターを手に取ることのメリットは計り知れない。ジャム・セッションで自分以外の誰かがギターを弾く時、僕がベースを担当することによって曲への参加回数が増える。それだけ経験値が上がる。投資効果も最大化されるんだ。そもそもベーシストがいないセッションでは、多くの人々に感謝され、尊敬されさえするだろう。

視点が変わることも大きい。ギタリストの位置から見える世界と、ベーシストの位置から見える世界。風景が違って見えてくる。ベースをはじめるということは、自己の 空間認識能力を革命的に向上させる ということなんだ。これは言ってみれば2トントラックを運転することでセダンの運転技術が向上するというようなことだ。

ギターとは微妙に違う種類の楽器に触れることでギターの認識そのものが意識の中で相対化される。スタッカートやレガートといったアーティキュレーション、奏法面での見直しにもつながる。新たなディメンションを獲得できる、というわけさ。人間の価値は、どれだけ多面的な視点を持てるか、自己を客体化できるかに大きく左右される。

つまりベースギターは、弾いたほうがいいとか、もはやそういうレベルのものではないんだ。ベースギターを弾かなければ、真のギター上達は望めない。そう言っても過言ではないんだ。これまで僕がどれだけの時間とお金をギターに費やしてきたか、君はイヤというほど知っている。だからこそわかってほしい。あれらの努力や投資は無駄にすべきではない、と。ここでやめてしまっては、全てが無駄、台無しになってしまうんだ。

ここで少し理論の話をさせてほしい。ギタリストはフレーズをコードのルートから始めることを嫌う傾向があるものだ。何故って、いつもベースがルート弾いてくれているのだから。ベーシストという存在は素晴らしい。君と同じくらい素晴らしいよ。ベーシストは休まない。僕が休んでいる時でも、黙々と世界の土台を生成し続けてくれている。君は人知れずこっそり家の掃除をしてくれたり、料理をしてくれたり、子供の世話をしてくれるーーそのような安定した土台があってはじめて僕は安心して社会の中で活躍できている。

でも僕は気付いたんだ。もうそういう時代じゃない。僕だって家事をやってみて、それがどれだけ大変かを理解しないといけない。口先だけの理解ではなく、本当に実践することによって。何でも君に任せっぱなしではいけないんだ。故に、僕はベースギターを買わなければならない。それは ごく自然な論理的帰結 だ。

ベースギターを購入し、ベースの世界に身を投じるということは、曲をより深いレベルで理解するということなのさ。ルートや5度やその他の基礎的なコードトーンで丁寧にプログレッションを繋いでいくことで、その曲がどのように出来ているのかが見えてくる。世界がどのように出来ているのかが見えてくる。まだわかってもらえないかもしれないけど、将来的に僕が政界に進出する時、ベースギターを通して得られた世界観が大きく役立つ と思う。

あとね、ベースをはじめることによって、握力だって増す。そのことによってギター演奏が楽になるのは勿論、家事や仕事で疲れた君の肩や腰へのマッサージも大幅に改善するのは間違いない。いつも「そんなんじゃ気持ち良くない、もっと強く揉め」って君は言うだろう? 僕の手の力が強くなかったのは、これまでベースギターを弾いてこなかったせいなんだ。それに僕が買おうとしているベースギターは、高級マッサージチェアのような値段はしない。

君は心配しているかもしれないね。ベースギターを買ってしまったら、新たに専用のアンプやいろんな線みたいなやつ(シールドって言うんだけど)や金属製の四角い箱(興味ないかもしれないけど、あれはエフェクターって言うんだ)も買わないといけないんじゃないか、って。大丈夫。心配ない。手持ちのギター用のアンプや機材でなんとかなる。とりあえずはね。あまり先回りして心配しすぎると、人は新しいことに挑戦するのが難しくなる。僕はリスクを十分に査定した。その結果、得られるものはあっても失うものは何もないことがわかった。あとは飛ぶだけさ。

(取材協力:Jazz Guitar Forumの皆さん

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