ポリトーナル・バイトーナル(多調・複調)

複数の調性が同時進行することをポリトーナル(polytonal, 多調)、特に2つの調性が共起することをバイトーナル(bitonal, 複調)と呼ぶようですが、この音楽的手法のことをテレビを見ていて思い出しました。

アート引越センターの下の2つのCM音楽がそうなのですが、不思議な感じがしたのでした。この会社のテーマソングはメジャー・キーのものとして私の頭の中に強烈に残っていたのですが、下ではメロディーがG Major、バッキングは平行調のE Minorのように聞こえます。何ともヘンな感じで面白い。葵わかなさんが口パクで歌っていることも手伝ってシュール具合に拍車が掛かります。

一部の現代音楽は調性の支配からより自由になるためにクロマティシズムの追求を経て無調音楽に至りましたが、バルトークのように調性にこだわった人はポリトーナリティに可能性を見出していたようです。下は「ミクロコスモス」第5巻の125番「船遊び(Boating)」という曲。冒頭部、左手と右手が別々のキーです。

ポリトーナル・バイトーナル(多調・複調)

フランスの作曲家ダリウス・ミヨーは、オクターブ以外のインターバルでのカノンが誕生した時にポリトーナリティが発生した、的なことを言っています(Milhaud Describes Polytonality)。そして他の調性への「転調」が可能なら、他の調性との「スーパーインポーズ」が可能だっておかしくない、みたいなことを主張していて、これは面白いなぁと思いました。

転調が発生する曲の記憶は、意識の中でポリトーナルな感じで冷凍貯蔵されているのではないかという気もします。

下はバルト三国のリトアニアという国の「スタルティネス」という民俗音楽なのですが、全音違いのバイトーナルになっています。この音楽がはじめて文献に登場したのは1582年らしいですが、その数世紀前から存在していたという説もあるようです(Wikipedia)。つまりとても古い。

ビルボードやオリコンのヒットチャートにこういうポリトーナルな曲が入っていることはまずないと思いますが、入っていてもおかしくないんですよね。たまたま今がこういう流行なだけで、音楽表現にはもっと色々な可能性があるということを忘れないようにしたいと思いました。

ポリトーナル・バイトーナル(多調・複調)
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