アマチュアであることのアドバンテージを活かす

日本では様々なジャンルで「プロ」と「アマチュア」という区別を付けたがる人々が多く(たぶん商売上の利権が原因だと思うのですが)、「アマチュア」という言葉が口にされる時、いわば「プロより劣った人達」というニュアンスが込められることが非常に多く、居心地の良くない思いをすることがあります。

そのことについては以前この記事で書きました。

何かでなければならないという考えを捨てる
カート・ローゼンウィンケルは最新作"Caipi"をリリースするにあたって、わりと苦労があったらしい。どんなカテゴリーにも属さない音楽なので、...

そんなふうにアマチュアという言葉に違和感を覚えはするのですが、「アマチュア」であることには相当大きいアドバンテージがあると感じています。

何が良いかというと、毎日の演奏仕事に追われたりしないこと。好きなだけ時間をかけて好きに研究できます。練習できます。このメリットは本当に大きい。巨大です。どんな主題も自分で納得行くまでたっぷり取り組むことができます。新しい音楽、そして何より、自分が本当に求めている音楽に取り組めます(プロとして他人の要求に応えたり、シナジーの中で何かを生むスキルを磨くことはまた別のお話)。

昨年インタビューさせていただいたロメイン・ピロン氏が、「焦らないこと」の重要性を語っていました。これは、あらためてはっとさせられました。

ロメイン・ピロン(Romain Pilon) インタビュー
このところ急激にファンが増えているフランス出身のギタリスト、ロメイン・ピロン(Romain Pilon)氏。氏に関する情報が少ないこともあり...

辛抱強くあること、そして集中すること!

僕は大体、6ヶ月程度にわたって3つか4つの課題を練習することにしている。6ヶ月経ってそれができたと思ったら、他の課題に取り組みはじめるんだ。

メアリー・ハルヴォーソン氏も、大学でジャズを学んでいた時は様々な課題をクリアしなければならず、じっくりひとつのことに取り組む贅沢な時間を持てなかったそうです。彼女はあれもこれも詰め込むのではなく、時間をかけて取り組む「深い」練習をしよう、と語っています。

ひとつの音程を5分ではなく2時間とか練習して身体に染み込ませる - Mary Halvorson
自由表現を探求する素敵なお姉さんメアリー・ハルヴォーソン氏が下の動画でインターバル練習を紹介しています。トライトーン(増4度)を4度サイクル...

前に「深さ」のことについて少し話しましたが、こういう練習をする時は5分やるんじゃなくて、2時間とか費やして、サウンドを身体に染み込ませてみてください。その後に(この音程を使って)少しインプロヴィゼーションしてみるといいです。

彼等は職業ミュージシャンですが、たっぷり時間をかけて取り組むことの重要性を語っています。そしてアマチュアのほうがプロよりもこれを実現しやすい、恵まれた環境にあると思うんですね。だから「アマチュアだから…」などと自分を卑下する必要もまったくないと思います。

プロであったり、あるいは単位を取得するために音楽学校に通っていると、こういうのはやはり贅沢な時間の使い方になるのだろうと思います。勿論、限られた時間で自分を追い込んで鍛えていく、というスパルタコースもあるでしょうし、それは時にかなり有効だったりするとは思うのですが、全員がその方法でうまく行くとも限らないでしょう。詰め込みすぎて自分を見失っている人、回りでもよく見かけます。

プロでもなく、単位取得や競争のために音楽をやっているわけではない私のような人間は、もっとこういう贅沢な時間の使い方をしていってもいいんじゃないか、と最近よく思います。

私は今年(も)、どっぷりと様々な課題に取り組んでいくつもりです。明日、来週、来月に何かが控えているわけでもなし。外で弾きたい時は弾きに行く。他人との演奏を楽しみつつも、長いスパンでとことん納得行くまでいくつかのテーマに取り組んでみたいと思います。作曲もたくさんしてみたい。

音楽は私にとって生き方の選択、ライフスタイルであって、ブドーカンやマジソン・スクエア・ガーデンを目指すためのツールではありません(たとえが古いw)。具体的な短期目標の設定も大事だとは思うのですが、ゴールよりもプロセスをむしろ楽しんで行きたい。その結果、良い演奏、良い音楽に近づけていけたら理想的だな、と思います。





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