インプロヴァイザーのための究極の詞:My Way

フランク・シナトラが歌う”My Way”という曲は、好きだという人と、嫌いだという人に分かれるようですが、私は大好き派です。嫌いな人は、なんで嫌いなんだろう。死ぬ前にこんなふうに言えたら、その人の人生はどう考えても大成功でしょう。いや、他人の人生は知らないのですが、私の人生はそれで成功です。

この曲は歌詞に著作権があるので、訳詞を掲載するわけにはいきませんが、この詞が表現しようとしていることは、あらゆる表現活動者・表象芸術に身を捧げている人間の心情とあまりにもかぶるところがあるのではないでしょうか。

私はいつかこの世から姿を消す時に、親しい人にはっきりと言っておきたい。自分なりの、充実した自分の人生を生きたと。あらゆる選択肢を考慮して、実際に試してみた、弾いてみた。いろんな人と会ってみた、つきあってみた。自分なりにやってみた。後悔なんか山ほどある。うまく行かなかったこともあった。譜面を詳細に研究して、どんなふうに弾けばいいか考えた上で挑戦してみた。自分の能力を超えたことをやろうとして、ハメを外しすぎてしまったこともあった。自分に自信が持てなくて不安だった時でも、とりあえず飛び込んでみて、その時にやれることをやってみた。恐れずに立ち向かって、堂々とやってみたよ。自分なりのやり方でね。好きだったから愛した。笑ったし、泣いた。いろんなものを失くしもした。でもまあ、今になって思うとどれも笑い話みたいなもんだ。私は少なくとも、自分がやりたくなかったことはやらなかったと思う。自分が本当に感じたことだけを伝えようとした。誰か偉い人の言葉をそのまま反復するんじゃなくて。私のこれまでの録音を聴いてもらえればわかる。私は自分の演奏をした。自分の音楽をやったんだ。

ポール・アンカが英詞を作った「My Way」はそんなふうに解釈できる曲です(上記は翻訳ではなく解釈です。なのでJASRACさん訴えないでねw)。これはそのままジャズでインロヴィセーションをやっている人のためのメッセージのようにも聞こえます。

むかし、すごく偉い人が何かの本でこの歌詞を「はしたない」と酷評している文章を見たような気もします。でも、この詞の何処がはしたないのか、私にはわかりません。それは私が「はしたない」人間だからかもしれないですが、まぁそうだとしても別にいいや(笑)。

こんなふうに言えずに人生を終えていく人々は、多いのか、少ないのか。それはわからないけれど、人生の幕を下ろす前にこういうことを言えるようにするための準備は、何歳からでもできるはずだ、と思います。音楽表現の特殊で不思議なところは、社会への政治的関与とは別の次元で、自分が本当にやりたいことをやれる、確かめられる、というところではないでしょうか。

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