1964年のマイルス・デイヴィス・クインテット

面白い動画を見つけました。1964年10月11日、イタリア・ミラノのテアトロ・デラルテ(芸術劇場)におけるマイルス・デイヴィス・クインテットの公演です。この時マイルス38歳、ハービー・ハンコック24歳、ウェイン・ショーター31歳、ロン・カーター27歳、トニー・ウィリアムス18歳(!)。”All of You”の序盤でマイルスがハービーのピアノに反応し、何かめっちゃ怒ってます。

お前、やめろ…増4度のフィルみたいなもん入れんな…

という感じでしょうか。この演奏、下の動画の40:03から曲全体を再生できます(初回はそこから再生できます)。これを聴くと、多分マイルスは序盤しっとりめに演りたかったのではないかと思いました。ハービーはマイルスの視線から何か理解したのか、その後ぱったり弾かなくなりました。18歳のトニーは「やべ、俺、もう家帰りたい…」という感じに見えます。自分の立ち位置がまだ見えていない感じ。

ショーターのソロの入口でハービーが大きく前に出ますが、この時もマイルスはかなり不満そう。ハービーのところに行って何か耳打ちしています(42:49)。さらに49:01ではロン・カーターにも何か大いに不満ありげです。これは私には真意がよくわかりません。マイルスが期待した音と何か違っているらしい。みんなちょっと固いというか、ぎこちなさを感じます。

1963〜65年頃のマイルスはお尻と関節の痛みを和らげるために手を出したアルコールとコカインの摂取量が増えていた時期らしいので、ちょっとしたことにピリピリしたのかもしれません。

このクインテット、ウェイン・ショーターはちょうどこの頃に参加したばかり、残りの4人は前年の63年から。強烈な個性を持ったメンバーたちがまだお互いの持ち味をどう活かしていくか、模索しているように見えます。この翌年に超名盤の「E.S.P.」が録音されるわけで、そこに至るまでこういうプロセスがあったんだなと思うと興味深いです。

3年後の1967年、この5人はこういう演奏をするようになっていました(動画には1963年ストックホルムでのライブとありますが、67年の間違いのはず)。シナジー炸裂。出来上がってます。みんな自分の居場所を見つけ、水を得た魚になった感じ。凄すぎ。ジャズってこういう音楽なんだぜ…

何かが結晶化するにはそれなりの時間がかかるんだな、と思いました。あとショーターの存在感は何か別格。5人とも超天才ですがショーターは何か一つ抜けている感じがします。

余談ですが、上の演奏の2年後は既にこれ。ベースだけロン・カーターからデイヴ・ホランドに代わり、残りのメンバーに加えてジョン・マクラフリン、ジョー・ザヴィヌル、チック・コリアが参加。進化速すぎw


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1964年のマイルス・デイヴィス・クインテット
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