ジャズにおける女性差別:アメリカのジャズ系女性ミュージシャンが感じていること

National Public Radioに”ジャズにおいて女性であること”という記事があり、複数の(主にジャズ系)女性ミュージシャンへのインタビュー抜粋が掲載されています。

質問は「女性かつミュージシャンであることと、男性かつミュージシャンであることとの間に違いはあると思いますか? もしあるなら、どのような違いでしょう? その違いをはっきり意識した瞬間は?」というもの。個人的に考えさせられた部分を抜粋してみます。

ジャズと即興音楽は歴史的に男性中心のものでした。このジャンルでは、歌うことは多くの演奏家やリスナーから過小評価されてきたんです。それに、このジャンルにおける女性の大部分は歴史的にシンガーであり、大部分のシンガーが女性でした。そのため女性であり、なおかつシンガーであると、少し取り残されたような気持ちになります。

付け加えると、自分のグループのメンバー(大部分は男性)に対して何かを要求したり、こうしてほしいと伝えるのが難しいと感じることがあります。一般的に生活において、直接的であること、懸案事項をはっきりと述べることと、「口うるさい」とか攻撃的と思われてしまうこととのバランスを取るのが女性にとって難しいせいだと思います。

– Andrea Wolper, ヴォーカリスト

イエスでありノーです。音楽体験や、自分を音楽的に表現したいという欲求は普遍的なものだと思います。私の女性の生徒達と、男性の生徒達の間には、音楽を学び・記憶するやり方に驚くほどの違いが存在します(大袈裟に単純化すると、女性はより視覚的に学び、男性はより聴覚的に学びます。女性は自分の聴く力を高めるために声を使いますが、男性は分析的になる傾向がある)。

女性のリズムセクション・プレイヤーに対する偏見は未だにたくさんあります。私は女性だからという理由でオーディションから除外されました(「これはパンクバンドじゃないんだよ!」)。女性はバンドではうまくやれないものだという思い込みもよくありました(「キャットファイトが起こるだろう」「スポットライトやドラマーを巡って戦いになるだろう」等々)。性的な傾向についての憶測もありました(ある有名なベーシストが「君はゲイ(同性愛者)か?」と聞いてきたことがあります)。

そして私は絶対に忘れないのですが、ベースとアンプを持って入ろうとしたら、音響の男がこう聞いてきたんです。「ところで君のバンドには本当のベーシストもいるの? その人の音、何処に繋げばいいかな?」

– Ariane Cap, ベーシスト

性別による違いははっきりあると思う。よりストレート・アヘッドなジャズシーンで、特に感じてきました。何故か、ストレート・アヘッドなジャズでは未だに女性楽器奏者に対する「ボーイズ・クラブ」的な雰囲気が残っていて、まるで世の中ではヴォーカリストだけが女性で良いのだとでも言いたい感じ。アバンギャルドの人よりも、ストレート・アヘッドな男性ジャズミュージシャンにより多く不適切な態度を取られてきました。私がギターを弾くことと関係があるかもしれません、ギターは女性より男性が弾く割合が高い楽器で、女性蔑視的なコメントは未だにギター雑誌で頻繁に目にします。

– Amanda Monaco, ギター

違いがないわけないじゃない。まず最初に、胸。胸が大きいとギターに当たって本当に落ち着かない。第二に、トイレがないからといって私達は外の壁とか木におしっこできるわけじゃないのよ。第三に、男は未だに権力の大部分を持っていること。過去15年間でより多くの女性達が劇場でテックの仕事をやるようになるのを見てきて、元気づけられてきたけど。それにね、サウンドエンジニアの女性は皆無と言っていいんです。私達は身体的に聴力が優れているのにね。メジャー・レーベルや出版社の社長にはまだ女性がいない。1966年に15歳でテレビに出た時、君は本当に歌いながらギターを弾く必要があるのかって聞かれた時に、こういうことはもうわかっていた。

– Janis Ian, ボーカリスト・ギタリスト

他にもこんなコメントも。

フェスティバルのアーティストTシャツは全部メンズサイズ。

– Hiromi, ピアニスト

ステージ上での身体的な美しさは評価できますが、音楽は一般的な理想を超越するものだと私は考えています。

– Betse Ellis, フィドル

多くの場合、「あのね、僕は女性ドラマーって好きじゃないんだけど君は大丈夫だよ!」みたいなことを言う人間の相手をしなきゃならないの。まるでそれが褒め言葉で、才能ある女性アーティストに対する、彼等が新たに発見したレスペクトの手法に私が慰めを得なければならない、みたいな。

– Poni Silver, ドラム

日本に住んでいても、楽器を演奏する女性に対する蔑視的な発言を見聞きするのは残念ながら珍しくありません。SNSでもよく女にはジャズができない、グルーヴできない、音が細い、というようなとんでもないコメントを目の当たりにすることがあり、その度にゲンナリしてアプリを削除したりします。

テリ・リン・キャリントン、ミシェル・ンデゲオチェロ、エスペランサ・スポルディング、リンダ・オー、エミリー・レムラー、シェリル・ベイリー、Hiromi、山中千尋。性差とは無縁のグルーヴと感動しか感じません。女性ならではとか、女性らしい表現などと思うこともありません。ヒューマン・ビーイングとして素晴らしい。それだけです。

女性差別はストレート・アヘッドなジャズシーンで多い、という話は少し気になりました。伝統と権威は女性を排除し、革新のアヴァンギャルドはちっぽけな男のプライドみたいなものに拘っていないからでしょうか。

1問アンケートを作ってみたので、宜しければ皆様のお考えをお聞かせ下さい。

あなたは日本のジャズシーン(プロ・アマ問わず)において女性差別・蔑視を感じますか

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ジャズにおける女性差別:アメリカのジャズ系女性ミュージシャンが感じていること
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