ギブソンCEOヘンリー・ジャスキーヴィッツが考える理想のギターショップ像とは

ギブソンのCEO、ヘンリー・ジャスキーヴィッツ氏がBillboardとのインタビューで楽器店について不満を述べ、同社の販売不振の原因をそのせいにしている、という記事を見かけました。ざっくりこんなことが書かれています。

  • 音楽関連の小売業界には問題がある
  • Amazonをはじめとするe-コマースが主流となり、ギターショップはどこも物理店舗が立ち行かなくなるのではと恐れをなしている
  • ギブソンはこれまでオンライン販売をしないことでギターショップを守ってきた
  • 我々は販売促進の方法をショップに教えている
  • ギターショップはお客さんがゆっくり座って商品を手に取れるような、フレンドリーな場所でなくてはならない
  • 大部分のギターショップにはゆっくり座れるような場所がなく、居心地が悪い
  • もっとお客さんを歓迎するような工夫をしないといけない
  • ギターはどれも壁にかけられているし、最高のギターは手が届かないようになっている
  • アップルストアで扱っている商品は多くがハイエンドギターよりも高価だが、どれも実際に触れるように陳列されているし、盗難防止装置はあるもののどの店にも警備員が常駐しているわけではない
  • ギターショップがいま経営に苦しんでいるのは、年季の入ったミュージシャンへの接客にばかり力を入れ、新規のお客さん、特に女性が気持ちよく買い物できるような工夫をしていないからだ

海外の掲示板などを見ていると、ジャスキーヴィッツ氏の意見には賛否両論あるようです。海外ジャズギター系掲示板には次のような意見が。

  • 長年音楽の小売業界で働いてきたが、ギブソンほどやりにくくて傲慢な会社は他にない。小中規模の小売店は何十年もぞんざいな扱いを受けてきた
  • 彼は正しい! ギターセンターに入って居心地の良い椅子に座って、手が届くところにある大量のL5やSuper400といったハイエンドギターを試奏できるようになるといい
  • 記事の内容にあまり異論はないが、ハイエンドギターにバックル傷ができるのはいかがなものか

他に「ギターショップに快適なソファを置いたからといったギブソンの業績が回復するわけではない」という興味深い意見もありました。実際ギブソンの経営危機はTEACやONKYO等のライフスタイル関連事業の不振が主な原因であり、ギターの売り上げ自体は堅調とのこと。ジャスキーヴィッツ氏がそのことにあまり触れないのは不自然だ、という声も。

しかし「ギターショップは新規顧客にとって快適な場所とは言えなくなっている」ということについては、多くの人が同意しているように見えます。

日本の楽器店、ギターショップはどうでしょう。東京・お茶の水を歩いていると、楽器店がだいぶ減ったな、と感じます。ESPのBig Bossが入居していたビルの1つは現在、薬局になっていると思います。また、このお店はフレンドリーでいい雰囲気だな、と感じることは、個人的に多くはありません。

ちなみにその消えてしまったお店ですが、何年も前にヴィンテージのギブソンを押し売りされそうになったのを覚えています。2人組の店員にマークされ、帰ろうとすると行く手を阻まれたりしました。目先の利益ばかり追っているとこういうことになるのだと思いますが、中長期的なことばかり考えていても明日食べられなくなったりするわけで、どのショップも悩ましいところでしょう。

どの業界も新規顧客の獲得は簡単ではなく、大変なコストがかかると言われています。そのため既存顧客の囲い込みとケアに力が入れられるわけですが、その結果アメリカでも日本でも、残ったのはおじいさんだけ、ということになりつつあるようです。

関連記事

ギブソン経営危機をめぐる海外の反応:アメリカ人はどう見ている?
最近大きい話題になっているギブソンの経営危機に関するニュースですが、ご当地アメリカ合衆国のギタリストたちはこの件をどう見ているのか。Redd...
エレクトリック・ギターのゆるやかな死:ギブソンとフェンダーの経営戦略から見えてくる風景
2か月ほど前、エリック・クラプトンが「ギターはもう終わったのかもしれないな("Maybe the guitar is over.")」と語っ...

ギブソン製品一覧(Rakuten)





ギブソンCEOヘンリー・ジャスキーヴィッツが考える理想のギターショップ像とは
この記事をお届けした
Jazz Guitar Blogの最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!