意味に先行するサウンドの魅力 ー Suchmos(サチモス)は何故カッコいいのか

少し前からまたホンダのCMでSuchmos(サチモス)の曲が流れています。「808」という新曲。相変わらずいい感じのサウンドで、ドライブに行きたくなるようなグルーヴです。この曲、歌詞はドラマーのOKという方が書いたようです。大ヒットした「STAY TUNE」の歌詞はボーカルのYONCE、ベースのHSU両氏によるものらしいですが、詞の雰囲気には共通したものを感じます。

Suchmosのとらえどころのない妙な感じ、カッコいいところは何に起因しているんだろう、とふと考えました。「STAY TUNE」がヒットした時、英語が間違っている、とバカにする声をネットでよく見かけました。Stay tunedだろ、とか、他にも「Mで待ってる奴」とか意味わかんねーよ! みたいな意見。

多分、彼等の魅力はそこにあるんだろうな。意味や正しさに重きを置かない。サウンド優先。メロディの大きいシェイプを感じ取り、それを表現できるようなシラブルを持つワードを適当にピックアップして落とし込む。文法も破綻していていい。グルーヴがあればそれでいい。

ただ、意味が皆無なわけではなく、世の中の様々なものに対する違和感、距離感が表明されている感じはあります。では彼等が違和感を持ち、距離を取っているのは何か。それはやっぱり「意味」という面倒くさいものじゃないか。

“Everything is Everywhere, 拙い 興 苦悩”というフレーズにどんな意味があるんだろう、と考えても時間の無駄。ただやっぱりみんな気にはなるらしく「サチモスの曲の〜ってどういう意味ですか」という疑問はネット上に多い。人間は意味に囚われた生き物だから仕方ない。意味がわからないと不安なのだ。しかしサチモスはサウンドの雰囲気だけで勝負するワイルドな野生動物。だから彼等はモテる(笑)。

こういう雰囲気優先というか、ぼんやりしたイメージがあってそれを召喚してかたちにするような表現は、形式を問わずかなり難易度が高いのではないかと思う。難しいというか、人を安心させる「意味」をベースにする発想からは出てこない。カッコよければいい。音節とリズム、語呂がいい感じに合えばいい。意味? ないよ。カッコいいね。

「808」や「STAY TUNE」のような曲は、たとえば歌詞の政治性が話題の「ゆず」による「ガイコクジンノトモダチ」のような曲とは対極の位置にあるのでしょう。

ゆずファンの方の気分を害するつもりはないし、政治色の強い音楽を特に否定もしません。ボブ・ディランやルイジ・ノーノが政治的だったからといってバカにする人はいないし、音楽と政治は切り離せないものなのだ、と主張する人さえいます。考え方は人それぞれ。

でも、私は音楽にあまり重い意味は求めないな。意味の強すぎる音楽は疲れてしまう。もっとラクに聴いていたい。重い意味は、国会やテレビのワイドショーが扱えばいい。意味? 知らない そう言うの (笑)





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