怪談(肆)


※心霊現象が苦手な方、回りに誰もいない方は、夜には絶対に読まないでください







それは、ある蒸し暑い夜、家に帰った私が、洗面台で顔を洗い、自分の顔を見た時のことでした。

私の片方の鼻の穴から、何か1本の毛のようなものが、飛び出していたのです。

一体、なんだろう…。少し戸惑いながら、私は顔を鏡に近づけました。

すると、気付いたのです。その毛のようなものが、真っ白であることに…


ヒ、ヒエェェーーーーーッ!!!!

鼻毛…私の鼻毛に、真っ白い毛が、混じっている…? それは、何を意味しているのか。

私は、そのことの意味を、あまり考えたくなかったので、鼻の穴から出ているその毛を、ブチッ、と、手で抜きました。


ヒエェェーーーーーッ!!!!

痛さのあまり、私は、絶叫しました…。



それから、数週間が過ぎた、ある夜のことです。またしても鏡を見た私は、鼻の穴から、今度は1本だけではなく、数本の白い毛が伸びていることに、気付きました。

さらに、こめかみの毛の根本にも、白いものが混じっていることに、気付いてしまったのです。

(ひ、ヒエェェッ…)

冷や汗をかいた私は、何も見なかったことにして、電動鼻毛カッターで鼻穴から外に出ている毛を即座にカットし、翌日は午前休を取得し、朝から美容室に行き、女性の美容師さんに「髪の毛の白いところをなんとかしてほしい。ヘンな霊が、私に取り憑いているのです…」というメモを無言で渡し、対処してもらいました。

美容師さんは、終始無言でした。…



その後しばらくは、平穏な日々が続きました。数ヶ月ほどは、特に新たな恐怖体験もなく、過ごせたでしょうか。

しかし、もっともっと恐ろしい出来事が、私を待っていたのです。

いつものように帰宅した私は、早速、風呂よりも食事よりも何よりも先に、ギターの練習をすることにしたのです。

重いストラトキャスターを手に取り、ストラップを首にくぐらせます。

その時です。私は、かつて聞いたことのないような言葉を、耳にしたのです。それは、


「よっこいしょ…」

という言葉です。よっこい、しょ…? 私は、驚いて周りを見ました。しかし、誰もいません。私以外の誰も、そこにはいなかったのです。


ヒエェェーーーーーッ!!!!

それは、本当に恐ろしい体験でした。しかし気を取り直し、私はいつものように、2時間の夜練をやりました。とても集中した、充実した内容の練習でした。ふぅ、と私は満足し、重い重いストラトキャスターをギタースタンドに戻すべく、立ち上がり、ストラップを首から外そうとしたのです。

まさにその時でした。誰かが、こう言ったのです。


「うぇーいw よっこらしょっと…」


……


ヒエェェーーーーーッ!!!!

私は恐怖のあまり、床に尻もちをついてしまいました。私の以外の誰かが、部屋にいる! しかもそいつは、「よっこらしょっと」とか言っている! そんなのは、老人が口にする言葉だ。若者は、そんなことは言わない。俺は、若者だ。俺は絶対にそんな言葉を口にしない。

そして私は、立ち上がろうとしました。その時、私はまたしても、聞いてしまったのです。


「どっこいしょっと…」


ヒエェェーーーーーッ!!!!








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