円熟の域に達したジョン・スコフィールドがいま夢中な意外な音楽

ジョン・スコフィールドが2017年のインタビューで、最近クラシック音楽にハマっているという主旨の発言をしています。それも近現代作品ではなく、もっと古いものを聴くようになっているようです(01:27-)。

年を取るにつれてわかってきたんだが、若い時にクールだと思っていた音楽は、自分にはよくわかっていない社会的な理由からそう思っていたりする。反対に、古臭くて退屈に思えたから好きになれなかった音楽、それが最高で素晴らしいものだったりするんだよ。

私はクラシック音楽のことは決してよく知らなかったんだけど、ジャズ・ミュージシャンとして、ラヴェルやドビュッシーはチェックした。ジャズに影響を与えたと言われる音楽家だって言うからさ、バルトークやストラヴィンスキー、20世紀のクラシックとかもね。

でも最近、私はずっとベートーヴェンやブラームス、モーツァルトを聴いているんだ。本当に「古典的な」クラシック音楽さ。すごく楽しんでいるよ。これには驚く人がいるかもしれないけど…

このジョンの発言を聴いて、すぐに作曲家・武満徹の晩年のインタビューを思い出しました。

最近やっと、意識的にブラームスを聞いたり、モーツァルトを聞いたり、ハイドンとかベートーヴェンを聞いたりするようになってきた。(…)ちょっとおかしいと思うかもしれないけれど、ぼくはモーツァルトとずっと無縁だった。その音楽がほとんど耳に入ってこなかった。(…)

ぼくは若いときは、ああいうフォームの美しさに反発してたんです。(…)ぼくはあの頃、フォームが美しいというだけでああいう音楽には反発していたんです。(…)しかし、そういう考えというのは、実は音楽の上っ面だけしか見ていなかったんじゃないかと思うんです。モーツァルトの音楽というのは、そういう表面的な外観とかロジックではとらえきれないものを持っている。

それはモーツァルトだけじゃなくて、この前話したブラームスなんかにしてもそうなんですが、ああいう人たちは、長い音楽生活の中で、濾過されてできあがった直感力というか、西洋音楽の伝統に鍛えぬかれた信じられないような直感力を持っていて、それでもってああいう美しいフォームを作れるんですね。

武満徹・音楽創造への旅(p.741-742)

ジョンスコ先生と武満先生が感じているらしいことがどうも同じものに思えて仕方がありません。私自身も、若い頃はベートーヴェンやブラームス、モーツァルトは刺激がなく退屈に思えて好きな作曲家ではありませんでした。最近ベートーヴェンの魅力は少しわかるようになってきたのですが、残りの2人はまだ積極的に聴こうと思わなかったりします。

たぶん、そういう本当の古典には何かリアルで確かなものがあるのだと思います。あれだけメロディック・マイナーをこねくり回し暴れまくったジョンスコ先生が、ブラームスですよ。ジョージ・ラッセルのリディアン・クロマティック・コンセプトをドリアンに移植して重層的なパンモーダル音楽をつくった武満先生も、晩年はモーツァルトの魅力がわかったという。これは面白い。





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