パット・メセニーとトランペット的な表現

最近パット・メセニーとトランペットという金管楽器の関係性をあらためてよく考えるようになりました。パットの長兄マイク・メセニー氏はトランペッターで、パット自身も14歳で歯列矯正をはじめるまでこの金管楽器を吹いていたそうです(ソース)。

僕の長兄が楽譜の読み方を教えてくれた。高校のバンドでは楽譜を読んでいたものだけれど、トランペットの音楽がいつもまわりにあったよ。

そして長兄マイクが家に持ち込んだレコードがマイルス・デイヴィス(”Four and more”等)で、これがジャズとの運命的な出会い。ここでもトランペットつながり。

さらに彼は14歳の頃、カンサス・シティで週に4〜5夜、地元の大人ミュージシャンたちとジャズを演奏するようになるのですが、その中の1人であるゲイリー・シヴィルス(Gary Sivils)というトランペッターに大きい影響を受けたと語っています。

そのゲイリー・シヴィルスというトランペッターは、モードや理論を説明はできなかったものの直感的に何を吹けば良いかをわかっていて、難しいコード進行の曲も吹ける人だったそうです。

さらにパットはギターシンセサイザーのRoland GR300についても次のように語っています(1981年)。

僕のセカンドギターは新型のローランドGR300で、本当に気に入っているんだ。今では3分の1の時間それを弾いている、この楽器には圧倒されるよ。ギターシンセにはずっと夢中だったから出回っている全てのものを試奏して、他のブランドのものを3つ買ったりした。でもどれもこのローランドに出会うまではしっくりこなかったんだ。

このローランドは本当の楽器みたいに弾くことができる。僕が弾いているみたいにサウンドするんだよ。僕の個性が残ってくれるんだ。ギターみたいにサウンドはしないけど、そういう感じ。トランペットかベースか、オーケストラのようにサウンドするんだ。

パット・メセニーの”Roofdogs”という曲(“Unity Sessions”収録)のテーマなどは、私の耳には完全にトランペット的なフレージングに聞こえるのですが、YouTubeにはないのでかわりの下の曲。”Kin”の1:56〜のギターシンセでのフレージングもトランペットのような金管楽器を強く感じます(余談ですがこの演奏、”Roots of Coincindence”にも雰囲気が似ているなと思いました)。

マイルスは勿論、トロンボーンも個人的には感じます。つまり木管というより金管。現代のジャズギタリストはカート・ローゼンウィンケル、マイク・モレノ、ラーゲ・ルンド等々、サキソフォン的表現のミミックを意識する人は多いと思うのですが、トランペットのような金管楽器的なニュアンスが感じられる人は決して多くないような気がします(私が知らないだけで実はわりといたりするのかもしれませんが…)。

メセニー自身は、Roland GR300で弾く時のフィールはギブソンのフルアコES-175を弾く時と変わらないとも言っているのですが、コンプレッサーやサステイナー系のエフェクトなしでアンプに直にES-175のような胴厚なフルアコを繋いで、こういう表現をできるか。出てくるか。というと、まぁかなり難しいんじゃないかなという気がします。

こうした「金管楽器」に強い影響を受けているらしい点でも、パット・メセニーは特異なプレイヤーではないかと思ったのでした。元々の喋り方が実は管楽器、しかも金管、トランペットだった人だったのかもしれない。そう思うとなかなか面白いです。





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