自分にとって音楽は「生きがい」になりうるか

海外掲示板Redditで、”Ikigai”(生きがい)という日本的な価値観を説明している面白い図表を見かけました。「音楽と自分」との健全な関係を考える上でも役立つものだと思えたのでご紹介します。

“Ikigai”の図

これがよく出来ている図なのです。まずばっとご覧ください。”Ikigai”という文字の下に、A Japanese concept meaning “A Reason For Being”(「生きている理由のひとつ」を意味する日本的概念)と書かれています。どうもこの”Ikigai”という概念は、欧米の人々にとっては珍しいものらしいです。

自分にとって音楽活動は「生き甲斐」になりうるか
source : Reddit

英語で書かれている部分を解説します。円のいちばん外側の部分から左回りに、次に内側の部分を左回りに、という順番で書き出します。

いちばん外側の領域の説明

What you LOVE あなたが好きなこと(=
What you are GOOD AT あなたが得意なこと(=スキル・才能
What you can be PAID FOR あなたがそれによってお金をもらえること(=報酬
What the world NEEDS 世界が必要としていること(=需要

外側から1つ手前の領域の説明

PASSION 情熱
PROFESSION 職業
VOCATION 天職
MISSION 使命

中心の”Ikigai”に隣接する4つの領域の説明

“Delight and fullness, but no wealth” 喜びと完全性、だが富がない
“Satisfaction but feeling of uselessness” 満足感、だが役に立っていないという感覚
“Comfortable, but feeling of emptiness” 居心地が良い、だが空っぽな気持ち
“Excitement and complacency, but sense of uncertainty” 興奮と充足感、だが不確かな感覚

生きがいとは?

自分にとって音楽活動は「生き甲斐」になりうるか

この図の見方ですが、いちばん外側の4つの円が全てが重なっていれば”Ikigai”(生きがい)がある状態になるようです。好きなこと(LOVE)をやっていて、それが上手(GOOD AT)で、報酬(PAID)も発生してその仕事が必要(NEEDS)とされている場合。

しかし4つの円すべては重ならないものの、3つだけ重なっているケースもあるはず。例えば、私がフリージャズを志向するギタリストだとします。それをやるのが好きで、しかもそのスキルがあるとします。しかし現代の東京でフリージャズは必要とされておらず、お金ももらえないとします。この場合私は「好きなこと」と「得意なこと」のみが重なる領域、すなわち「情熱」という領域で活動していることになります。

他の例。仮に私が、ホテルのラウンジでBGM的なギターを弾くことを専門にしているギタリストだとします。その音楽は、必要とされている。しかも私はそれを弾ける。そして報酬ももらえる。しかし、それは私が本当にやりたい音楽ではなかったとする。この場合の私が属しているのは「居心地が良い、だが空っぽな気持ち」というエリアです。世の中の役に立って、お金ももらえる。でも何かちょっと寂しい…

こんなふうに、この図からは「現在の自分の状態」を読むことができます。究極の理想は”Ikigai”の領域に至ることだとは思いますが、例えば音楽によって生計を立てる必要はないアマチュア・ミュージシャンにとって「喜びと完全性、だが富がない」領域にいることは、特段悪いことではないでしょう。

この図の中でいちばん辛いのは「天職」と呼ばれる領域であるように見えます。この場合の「天職」(vocation)とは、「運命」に近いものでしょうか。その仕事は世の中に必要とされていて、お金も貰えているが、決して好きなことではなく、それをやるスキルもない(あるいは誰でもできる)場合。

ただそういう状況に置かれた人でも、それを「好きになる」か「自分の得意分野にする」努力をすると、状況が少し変わってくるかもしれない(その結果「生きがい」領域に入ることができる)。

たぶんミュージシャンでいちばん多い悩みは、「愛」と「スキル」は何とかなっても(それは自分のことだから何とか変えられる)、世の中の「需要」や「報酬」はなかなか変えづらいというところでしょうか。

それでも何かに「需要」がない場合でも、それをこれから発生させることは可能なはず。そして需要が発生すれば報酬も発生するでしょう。というふうに、いま自分に何が欠けていて、何をやっていけばより充実した状態、”Ikigai”と呼ばれるものに近付けるのかをこの図から考えることができるように思いました。ミュージシャン、音楽教室の運営者、ミュージックバーの経営者等、多くの人に役立ちはしないでしょうか。





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