若きサムライギタリスト、ジャズにおけるエリート主義を語る

カナダ出身のYouTuber/ギタリストのsamuraiguitarist氏。最初はそのメッチャ怪しい風貌とたまに背後に飾ってある掛け軸や中国風の置物に警戒してしまい、俺は騙されないぞ、などと構えていたりしたのですが、なかなかいいことを言う動画が多いのでたまに見ています。ギタープレイもインスタ世代の最近のユースという感じで、ファンも相当多いらしい。

そんな彼は最近”HUFO”というQ&A動画シリーズをはじめています。”HUFO”とは”Honest UnFiltered Opinion”の略。直訳すると「正直で検閲されていない意見」。意訳すれば「ぶっちゃけて言おう」。

samuraiguitaristはこの動画の中で元Rage Against The Machine・現Audioslaveのギタリスト、トム・モレロについてかなりネガティブな発言をしています。まぁ色んな人に配慮した無害な意見を言うよりも、こういうとんがった主張をしたほうが視聴率が上がるというYouTube特有の大人の事情があるような気もしないではないですが、それよりも彼は冒頭でジャズについて語っていて、これは唸らされました(0:17〜)。

ある人が「ジャズのエリート主義」について歯に衣着せぬ意見を言ってほしい、と言ってきました。

ジャズが得意だからという理由で他の誰よりも自分は優れている、と考えるジャズミュージシャンはこれまでにわりと見てきました。ジャズは恐らく最も演奏するのが難しいジャンルで、その結果最良のジャズミュージシャンたちは世界で最も優れたミュージシャンに属しています。

音楽学校に行くと20何人かの非常に優秀で目の輝いたジャザーに囲まれますが、彼らはそのあと現実を経験することになります。彼らのうちの何人かは若い頃からいかに優れていたかを聞かされてきたり、大学の入学金を全額免除されたりするなど、全ての面で先生や同級生から称賛され崇められてきました、そして彼らは自惚れてしまいます。

こういうエリート主義から苦しむ人達を僕は見てきました。悲しいのは彼らが学校を卒業する頃に、大部分の人々がジャズに興味を持っていないこと、ジャズを演奏してもまったく儲からないことに気づくことです。それで彼らは苦虫を噛み潰したような気持ちになります。

人々はジャズのようなハイアートに敬意を払わなくなりました。僕は思うのですがそれが原因で醜いエリート主義につながりうるのではないかと思います。

今では本当に才能のあるミュージシャンは耳をオープンに保ち、あらゆる種類の音楽からあらゆる輝きを吸収しようとします。彼らは常に学んでいて開かれた耳とともに人生を生きています。これは音楽で食べていきたいのなら重要な性質です。

それにこれはあなたの演奏にも深い豊かさを付加します、あなたがこういう態度を持つことでハッピーになって成功するなら、ああいう苦々しいエリート主義があなたの精神の中に入ってくることはないと思います。

samuraiguitaristは、プロフィールを見るとジャズの訓練を受けたとあります。彼は、やっぱりちょっと嫌な感じのジャズ畑の人を多数見てしまったのかな。ジャズが最も難しいジャンルかどうか私は知りませんが、選民主義的なギタリスト・ミュージシャンは私も学生の頃から多く見てきました。

そういうジャズギタリストは、ロックギタリストやブルースギタリストをバカにしたりするわけです。ほんと小さい話だな(笑)と思うのですが、こういう現象はどうも世界規模であるらしくて驚きます。

ただ私が疑問に思ったのは、いま現在、音楽大学のジャズ科に進学するような人で、卒業後にジャズの演奏で食べていけると思っている人がどれだけいるのだろうか、ということ。多分もうみんなわかっていて、卒業する頃にガッカリ、という人はそんなにいなんじゃないか、と。

それでもジャズの訓練を積むと様々なスタイルでの演奏や作曲、編曲のスキルが身につくはずで(理想的には)、それを糧に様々なジャンルの音楽で食べていく、という働き方を考えている人が多いんじゃないか、と。あるいは、純粋に好きだからやっている。将来の働き口のことはあまり考えていない、等。

それにしても、ジャズ以外のジャンルのギタリストは、こんな質問が出てくるほどにジャズギタリストのことを鼻持ちならないイヤな奴だと思っているのでしょうか。なんとも複雑な気持ちになります。





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